【早坂礼子の経済ウォッチング】日本で増え続ける空き家 税金、撤去費用…金銭面のハードル高く (3/4ページ)

2015.1.24 17:10

住人不在のまま放置されている東京多摩地区の一戸建て住宅

住人不在のまま放置されている東京多摩地区の一戸建て住宅【拡大】

 思い切って撤去する決心がついても金銭面のハードルが待っている。取り壊すには最低でも数十万円の費用がかかる。そのうえ空き家を撤去し更地にすると、住宅用土地に課される固定資産税の軽減措置(小規模住宅用地は更地の6分の1)が受けられなくなる。つまり更地になると住宅が建っているより税金が6倍になってしまうのだ。

 この固定資産税の軽減措置は戦後、住宅建設を促すねらいで設けられた措置だ。このルールを撤廃すればよいと思うが、固定資産税はほとんどの市町村で歳入の約5~6割を占める大きな財政基盤となっている。人口減で地方財政が逼迫するなか、安易に更地への課税を緩和することはできない。逆に空き家への課税を更地並みに強化すれば、所有者は空き家ではないと偽装する方向に向かう。だから更地に対する固定資産税は緩和も強化もできず、据え置かれてきた。

 

 空き家を更地にしてからも問題は続く。税金が6倍かかるから所有者は売りに出す。だが人が住まなくなった郊外の土地は簡単には売れない。駐車場やトランクルームにして収入を得ようとしても、周囲は高齢者だらけでニーズは低い。自家菜園に替えても野菜では税金を賄うだけの利益を稼げない。へたをすれば税金を毎年払い続けなくてはならなくなる。

税金の負担増を避けるには、どんなに古い住宅でも残しておいた方が有利だ

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