政府は、経済活性化に向けた女性の活躍支援策の一つとして、年明けにも一部地域で家事代行サービスへの外国人労働者の受け入れに踏み切る。家事代行の担い手を増やし、家事や介護、育児などの過重負担で家庭内にとどまっている女性の就業を後押しするなどの狙いだ。だが、家事代行サービスは割高な料金や他人を家に入れることへの不安感などが障壁となって一般の利用が進んでいない。政府の思惑とは裏腹に、サービス事業者には単に外国人を受け入れても需要は広がらないとの戸惑いが広がっている。(滝川麻衣子)
国内では現在、家事労働目的で外国から人を呼んで雇用することはできない。例外として外交官や一部企業の経営者など駐在員が「帯同」として雇うことは認めているが、雇用主以外の家事はできず、企業関係者は月額20万円以上の報酬を支払うこと、13歳未満の子供がいるなどの厳しい制約もつく。
これに対し、政府は年明けにも関西圏の国家戦略特区でフィリピンやインドネシアから家事従事者を受け入れる方針だ。受け入れは、18歳以上で単身の来日、5年程度の期間上限を設け、フルタイムで企業による雇用を想定。賃金体系は日本人と同様にする。家事代行サービスの業界各社と自治体でつくる推進協議会で指針をつくり、管理・監督を行うという。
しかし、外国人受け入れの効果について、業界内からは疑問の声が上がる。
創業30年を迎える業界草分けのミニメイド・サービス(東京都渋谷区)の山田長司社長は「教育コストや日本人家庭の需要が伴うかを考えるとハードルは高い」と指摘する。都市部の住居費や交通費、日本語教育費など受け入れに伴う費用をすべて事業者が負担することになれば、割高とされるサービス料金がさらに上がりかねないからだ。