政府は労働力を確保するために、海外の研修者の滞在期間を延長するなどの政策を実施し始めているものの、今のところ、その効果は限定的と言わざるを得ない。そうした施策に加えて、今後、政府としては定年制度の見直しを行うことで、シニア層の労働力化を図ることが必要になるだろう。
また、育児制度などを改善して、女性の労働力化等を図ることも必要だ。さらに、若年層に対する職業訓練教育の拡充もまた、必要だ。企業側が求める人材と供給サイドである求職者には、技術や仕事のノウハウなどに齟齬(そご)が生じているとの指摘がある。それを防ぐためにも、技能訓練やビジネスに役立つ教育の拡充が求められる。
そうした施策を迅速に実施することができないと、人手不足は、いずれわが国経済に重要な制約条件となることが懸念される。
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【プロフィル】真壁昭夫
まかべ・あきお 一橋大商卒、ロンドン大大学院修士修了。1976年第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。メリルリンチ、ロンドン証券現法出向、第一勧銀総研・金融市場調査部長、みずほ総研主席研究員。2005年から現職。58歳。神奈川県出身。