このため、各個人宛てに郵送したうえ、健診の項目に「骨密度」と「肌年齢」の2つを加えたところ、平成23年度の受診率が11・5%だったのが翌年度には18・7%にはねあがった。
同支部では「女性の加入率が高く、骨粗鬆(こつそしょう)症など高齢化に伴う病気に関心が寄せられたのでしょう」と分析する。個人宛ての郵送は来年度から、全国的に行われる予定で、項目の追加により潜在的なニーズを掘り起こしたことにもなる。
医療モデルの構築を
厚生労働省の国民生活基礎調査(平成22年)によると、健診などを受けなかった主な理由として「時間が取れない」「必要な時はいつでも受診できる」「面倒」が挙がっている。特定健診の未受診の理由について、別の研究班の調査では「すでに医師に受診」「健康だから」などが多かった。全体的に、特定健診が必要という意識が薄い傾向が見られる。
基本的には、未病の段階から生活改善の手を打つという特定健診の予防医学の考え方がもう少し浸透すれば、このような理由による未受診は減るだろう。根幹にあるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の概念は、血糖や血圧が平常値より高めで投薬するほどでない状態でも、こうした危険因子が重なることで徐々に進行し、心筋梗塞などさまざまな生活習慣病が発症するということだ。