非正規、ブラック企業… 新鋭作家たちが「職場」描く理由 (1/3ページ)

2013.6.16 12:44

オフィスビルの日常をつづった松田青子さんの小説『スタッキング可能』をはじめ、職場を舞台にしたユニークな作品が相次いで発表されている

オフィスビルの日常をつづった松田青子さんの小説『スタッキング可能』をはじめ、職場を舞台にしたユニークな作品が相次いで発表されている【拡大】

  • 小山田浩子さん
  • 松田青子さん

 現代社会のひずみ 丹念に

 都会のオフィスビル、広大な工場、罵声が飛び交うブラック企業…。20~30代の新鋭作家たちが現代の職場を丹念に描き、話題を呼んでいる。新卒学生の就職難が深刻化し、非正規雇用の増加などで働き方の多様化も進む。社会のひずみが顕在化する職場で得た実感を、自由なスタイルでつづる。(海老沢類)

 「素直に『自分にはこう見えた』という感じで書いた。読者の方のどんな反応もすべてうれしい」。そう声を弾ませるのは、初の小説集『スタッキング可能』(河出書房新社)が第56回三島由紀夫賞候補に選ばれた松田青子(あおこ)さん(33)。単行本の帯には気鋭の作家の推薦文が並び、部数も5刷2万部に達した。

 表題作は、とあるオフィスビルの日常をフロア別に複数の視点で描く。登場人物はA山、B田、C村…と記号のように記され、フロアや部署が違っても時折似た言動を繰り返す。〈こんなにみんな同じだとは思わなかった〉。派遣社員のD山が心の中で漏らす、そんな言葉が印象的。同質化していく社員への違和感と「それでも人とは違う『個人』は絶対に存在する」(松田さん)という希望が、軽いおしゃべりのようなタッチで表現された一編だ。

「職場で感じた自分の不安が出た」

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