「しょうゆアイスをね。(洋菓子の)ヒロタって、発祥は関西(大阪)だよ。きっと俺と思いは同じなんだ。俺も微力ながら、できることをしたいと考えているから」
新作映画は「復興」がテーマ ばいきんまんも活躍!
そんなやなせさんの原作を基にした、公開中の映画「それゆけ!アンパンマン よみがえれ バナナ島」のテーマは「復興」だ。天候異変のため、バナナが枯れた島をよみがえらせようと、アンパンマンたちはバナナ島へ向かう。
「バナナはね、子供も、大人も好き。僕も毎日食べるんですけど。デパートへ買いにいくと、夕方には売り切れちゃう。そんな人気の食べ物でやろうと」
加えて元デザイナーとしての視点もあった。やなせさんはかつて三越宣伝部のデザイナーで、いまも使われる包装紙の筆記体文字は彼が描いたものだ。アニメーション作りにおいても、冷静な判断を持ち続ける。「アニメで最も手間がかかるのが、群衆処理。島の住人がバナナなら、描くのが易しくなる。その上、バナナは非常に形が愛らしい」と笑った。
今作では“敵”である、ばいきんまんも島のために活躍。そこに、作者の思いが込められている。「一大事に、敵も味方もないでしょ。現在、私たちが住む地球は相当に危なくなっている。そんなときに、戦争で互いを殺し合うのは実に愚劣」と語気を強める。「そのうち気付くはずです。国内で戦うことがバカげていると気付いたんだから。いざというとき、助け合うよりほかにないとね」