残念すぎる中国人の「爆花見」 トイレ汚し、ボキッと枝折り、試食せがむ
日本で桜の花見を楽しむ外国人観光客が増え、中国人客らのマナー違反の振る舞いが波紋を広げることも多い。記念撮影のために枝を折ったり、トイレを汚したり、とまさに「爆買い」ならぬ「爆花見」といった様相を呈している。言語や文化の違いを超え、誰もが楽しめる花見のあり方を探る必要がありそうだ。
枝を折って記念撮影
関西随一の花見の名所として知られ、今春も大型観光バスに乗った中国人客らが押し寄せた大阪市中央区の大阪城公園。
ボキッ。5日夕、園内の桜並木に鈍い音が響いた。
「イー、アール、サン(イチ、ニ、サン)」。折ったばかりの桜の枝を手にした3人組の若い女性がポーズを決め、同年代の男性が掛け声とともにカメラのシャッターを切る。
女性らは枝を髪飾りのようにさして満面の笑みを浮かべ、さらなる暴挙に出た。記念の一枚に“演出”を加えようとしたのか、木を揺すると花びらがハラハラと涙のように舞った。
「枝や花を取ったらあかん。マナー悪すぎや」
一部始終を見ていた日本人の男性がたまりかねて声を掛けたが、一行は振り返らずに立ち去り、中国人ツアーのバスに駆け込んだ。
訪日客は過去最高
中国語が飛び交う園内では、たこ焼きなどをほお張りながら金属棒の先端にスマートフォンを取り付けた「自撮り棒」で写真撮影する姿が各地でみられる。
なぜ、わざわざ日本で花見をするのだろうか。
中国黒竜江省からのツアーを案内した中国人ガイドの20代男性は「中国にも桜はあるが、日本のようにまとまって咲いている場所はない。日本の桜の美しさはテレビやインターネットでとても有名なので、ひと目見たい人が多い」と語る。
日本政府観光局によると、平成27年に日本を訪れた外国人客は過去最高の約1973万人。最も多い中国人客は約499万人で、4月の花見シーズンは前年同月比2倍超の約40万人だった。同年、大阪を訪れた中国人客は過去最多の約272万人で、大阪城公園は屈指の人気スポットだ。
ただ、桜の木を傷つけるなどのトラブルは後を絶たない。爆買い需要を取り込もうと熱心に売り込む露店がある一方、試食をせがまれるなどするため困惑している売店も少なくない。
中国大使館が注意
こうした現状に中国も神経をとがらせているのか、中国大使館(東京)は3月下旬、訪日する中国人向けに「花見に関する注意事項」を初めて発表した。
「桜の枝を折ったり、樹を揺らして花びらを落とそうとしない」「ゴミは指定の場所に捨てるか、持ち帰ること」「日本人のように楽しみたいなら、適切な場所にシートを敷き、大声で騒がないこと」…。
注意事項では日本の花見文化を紹介した上で細部にわたって注意を呼びかけるが、マナー違反はあまりおさまっていないようだ。大阪城公園でも中国人客らが増えたころから、特にトイレの汚さが深刻だという。
清掃を請け負う会社の男性従業員(65)は「海外旅行ではなく、国内旅行の感覚で来日しているとしか思えない。他人に迷惑をかけることを恥じらう文化はないのか」と憤慨する。
日本人客と共存することはできないものなのか。公園を訪れたガイドの女性(45)は「バスで花見のマナーについて注意しているが、守らない人がいるのは残念だ。日本人が楽しみにしている場所だということを忘れないようにしないと…」と話していた。
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