長官辞任で国税に困惑広がる「長官にしたのが間違い」「歴史に残る汚点」

佐川宣寿国税庁長官が辞任国税庁が入る財務省の庁舎=9日、東京都千代田区(春名中撮影)
佐川宣寿国税庁長官が辞任国税庁が入る財務省の庁舎=9日、東京都千代田区(春名中撮影)【拡大】

 佐川宣寿氏が国税庁長官を辞任した9日、国税職員らは困惑の色を隠せなかった。「森友学園問題であれだけ批判されていた人を長官にしたのが間違い。首相や財務相の責任は重い」との批判が出る一方、「気の毒」との声も上がった。

 平成29年分所得税の確定申告は15日までだ。ある国税局幹部は「最大のイベントである確定申告期間中に辞めるなんて。事情はどうあれ無責任にもほどがある」とあきれ顔。都内の税務署幹部は「こんなに疑惑まみれの辞任は前代未聞。国税の歴史に残る汚点になる」と肩を落とした。

 国税庁次長や大阪国税局長といったポストを歴任し、組織を支えてきた佐川氏への同情論も。別の国税局幹部は「国会答弁に問題はあったかもしれないが、政権を守るため野党の追及の矢面に立たされた揚げ句、一人で責任を負わされたようで気の毒だ」と話した。職員の一人は「学園への土地払い下げに関わった職員が亡くなって耐えきれなくなったのでは」と推し量った。