ニュートリノの質量発見20年 「神岡から3つ目のノーベル賞狙う」「若手研究者の待遇改善を」 東大宇宙線研究所長・梶田隆章氏 (3/3ページ)

ニュートリノ研究について語る梶田隆章氏=千葉県柏市(佐藤徳昭撮影)
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 ◆大統一理論の証拠に

 --何が重要なのか

 「素粒子の間に働く強い力、弱い力、電磁力の3つの力が根本的には同じ力だと証明すること。いわゆる大統一理論の直接的な証拠だ。理論が完成するとまでは言えないが、基本的な考え方が正しいと分かれば研究者も集まり、完成に向けて加速していくだろう」

 --神岡では重力波を捉える施設「かぐら」の建設も進んでいる

 「かぐらは日本で唯一の重力波観測施設だ。これがないと一般相対性理論や重力波の研究ができなくなる。実践の場は重要だ。今年は極低温の鏡を入れてレーザー干渉計を運転し、かぐらの一番の特長を実現したい。19年の観測開始に向けた大きな関門を突破することになる」

                   

 【プロフィル】かじた・たかあき

 1959年、埼玉県生まれ。埼玉大理学部卒。東大大学院で小柴昌俊氏に師事し博士課程修了。98年、ニュートリノに質量があることを国際学会で発表。99年、同大宇宙線研究所教授。2008年、同研究所長。15年、ノーベル物理学賞。そば、すし、天ぷらが好物。休日は富山市内の自宅で過ごす。

                   

【用語解説】ニュートリノ

 物質を構成する最小単位である素粒子の一種。電気的に中性で他の物質とほとんど反応しないため観測が難しく、性質は謎が多い。1956年に発見された。3種類があり、電子の100万分の1以下の微小な質量を持つ。物質や宇宙の成り立ちを探る研究で重要な鍵を握る。名前はニュートラル(中性)の語尾に、小さいものを意味するイタリア語を組み合わせた「中性の微粒子」が由来。