【評伝】堀場雅夫氏死去 「おもしろおかしく」を社是に 独自の経営理念 (1/2ページ)

2015.7.19 17:04

インタビューに答える堀場雅夫・堀場製作所最高顧問=4月23日午後、京都市南区(撮影・柿平博文)

インタビューに答える堀場雅夫・堀場製作所最高顧問=4月23日午後、京都市南区(撮影・柿平博文)【拡大】

 学生起業家の草分けで、「おもしろおかしく」というユニークな社是を掲げた堀場製作所の創業者。社員に対しては「仕事が楽しくない社員は会社を辞めてくれ」と繰り返し語り、「会社のためにがんばる」や「お疲れさま」という言葉も嫌った。今ならパワハラと思われるような態度かもしれないが、そこには「創意工夫をしておもしろく仕事をした人には、それだけの恩恵を神様が与えてくれる」という信念が込められていた。

 堀場氏の人生は決して、順風ばかりではなかった。

 終戦後、京都帝国大(現京都大)に戻り、昭和20年10月に「堀場無線研究所」を設立。核物理実験用の高速演算機に必要なコンデンサーを自作するため、3日3晩、一睡もせずに動作を凝視し続けた。食糧難で「飢えの恐怖」と戦いながらの開発だったという。

 苦労して生み出したコンデンサーの性能は良く、量産化のめども付けた。しかし、朝鮮戦争による資材高騰で工場建設を断念。多額の借金を抱えた。自作の酸性値などを測るpHメーターが復興需要に乗って売れなければ、事業継続そのものも危うかった。

あるときには、ガス分析器の性能を上げるために質の良い金メッキを…

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