4月21日に94歳で死去した三井物産元社長・会長の江尻宏一郎氏のお別れの会が8日、ホテルオークラ東京(東京都港区)で行われ、経済界や関係者約800人が献花し、故人との別れを惜しんだ。
石油ショックやイラン・イラク戦争に翻弄され、工事が中断したイラン・ジャパン石油化学(IJPC)の事業清算をめぐり、1989年10月にイランの首都テヘランで友好的な清算合意交渉を社長としてまとめ、90年に合弁事業解消に導いた。
大型投資のカントリーリスク管理の教訓は風化せずに今に引き継がれている。口銭商売が主だった商社のビジネスモデル改革も進めた。
92年から96年には日本貿易会会長を務め、輸入拡大による貿易摩擦解消にも尽力した。
三井物産は来場者に配布した冊子の中で「商品とだけ付き合わず、会社と付き合え」という江尻氏の信条を披露し、顧客ニーズに応えビジネスを創造する姿勢を重視した故人をしのんだ。