岸博幸氏に聞くプレーン・パッケージ法 「営業・表現の自由侵す」「値上げが先決」 (1/4ページ)

2015.7.17 13:04

健康被害を強調したたばこを陳列するオーストラリアの売り場

健康被害を強調したたばこを陳列するオーストラリアの売り場【拡大】

 たばこのパッケージを簡素化したうえで、健康被害を警告する写真や文章を大きく記載する「プレーン・パッケージ(PP)法」。豪州が2012年末から施行したのに続き、今年3月にはアイルランドと英国でも同様の規制法が成立した。たばこ業界や生産・輸出国が反発するなど国際的に波紋が広がっている。

 豪州のPP法は、喫煙意欲を削いでたばこ消費を抑制するため、パッケージから一切のデザイン要素を排除。箱の色を茶緑に限定した上で、ブランド名のフォントスタイル、サイズ、位置まで規定されている。さらに肺がんの写真など画像付きの警告表示を前面75%、後面90%に掲載しなければならない。

たばこは害悪?WHOの根拠にも疑念

 愛煙家で知られる慶応大大学院教授の岸博幸氏は「企業の営業の自由、表現の自由を侵すのに相当するほどの害悪があるのか疑問だ」と話す。識別、出所保証、品質保証など商標の本質的機能が著しく低下し、ブランド価値が損なわれるのは必至で、日本たばこ産業(JT)を含む世界のたばこ会社が「PP法は違憲である」と豪政府を相手取り提訴したものの、豪連邦最高裁は合憲と判断した経緯がある。

 導入から10カ月後、豪州コンビニ協会は、商品を探す時間が余計にかかる▽間違った製品を渡したことによる返品の増加▽在庫管理にかかわる時間と発注ミスの増加-など混乱が生じていることを発表した。

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