14日に発覚した東京電力福島第1原発でポンプが誤作動し、約203トンの高濃度汚染水が本来流れ込むはずのない建屋へ流入した問題は、操作ミスや故意にポンプが動かされた可能性が浮上している。2月にも地上タンクの弁が何者かによって開けられ汚染水が漏(ろう)洩(えい)しており、不可解なトラブルの続発に謎が深まるが、東電の管理体制の甘さも問題視されている。
原子炉建屋地下の汚染水は「プロセス主建屋」を経由し浄化装置へ送られるが、今回は移送されるはずのない「焼却工作建屋」へ流れ込んだ。2つの建屋に2台ずつ設置されたポンプが、少なくとも2日間誤作動したため流入が起きた。
4台のポンプの電源盤はそれぞれの建屋1階にあり、手動で起動しなければならない。「配線の異常でポンプが勝手に起動することはまずない」(東電)といい、操作ミスが原因とも考えられる。だが、本来使うポンプはプロセス主建屋にあり、立ち入る理由のない焼却工作建屋に入りポンプを起動させるのも不自然で、単純な操作ミスでは説明できない。
では、何者かが故意にポンプを稼働させたのか。2つの建屋の入り口は配管が通っているため施錠されておらず「誰でも立ち入れる状態」(東電)。ポンプの電源盤も無施錠で、周辺に監視カメラもないという。