日立製作所と子会社の日立GEニュークリア・エナジー(茨城県日立市)は10日、福島第一原発内の汚染水漏れを調査するロボット2機種を共同開発したと発表した。変形メカあり、戦車のようにキャタピラーで水底を進むメカありと、アニメに登場するロボットを彷彿(ほうふつ)とさせる。
遠隔操作で水中での障害物の回避や配管内、段差のある場所でも移動できる。日立は今後、資源エネルギー庁や東京電力などと設計面の詳細を詰めて、現場への投入を目指す。
水中走行遊泳型ロボットは、水で満たされた原発の建屋内でも調査できる。戦車のようにキャタピラーで走行条件が悪い水底を進み、障害物がある場合、遊泳し、回避できる。壁面に吸着して走行できる機能も搭載している。
もうひとつの形状変化型ロボットは、縦長に変形し、直径10センチメートルの配管を通過できるほか、段差のある場所でも平面走行できる。配管から抜けた後には形状を変えてカメラ撮影も行える。
福島第一原発は、圧力容器内の冷却のため、水を注入しているが、その一部は原子炉建家内で漏洩(ろうえい)し、放射性物質を含む汚染水となっている。汚染水を減らすには建屋内の漏洩場所を特定し、補修する必要があり、今回の調査ロボットの活用が期待されている。
福島第一原発の1~3号機は、炉心溶解(メルトダウン)を起こし、原子炉内は放射線量が高く、人が作業できない状態が続いている。三菱重工業も2月に遠隔作業ロボットを投入。調査用・作業用ロボットの活用が相次いでいる。