“ヒロイン”に仕立てられたイ・スルビにしても、高校時代に頭角を現したが、卒業後の受け入れ先がなく、一時はカーリングの道を諦め、保育園の補助保育士をしていた。2009年にようやく現在の代表チーム監督に引き上げれた。
そんな韓国代表にとって、日本は合宿を重ね、基本的な戦術を教えてもらい、技術を盗んできた「先生」に当たる国だ。それだけに、初戦の勝利は感慨ひとしおだっただろう。
ただ、その後、主催国のロシアを破ったものの、黒星を重ねた。17日に米国に圧勝はしたが、準決勝進出は果たせなかった。
キム・ヨナの一挙手一投足が注目されるフィギュアスケートでも、韓国国内で「所詮はキム・ヨナだけ。選手層の厚い日本がうらやましい」とのため息が聞かれる。冬季競技の基盤は脆弱(ぜいじゃく)で、まだまだ個人芸に頼っているのが実情だ。
降って沸いたカーリング人気も長続きするのか、それとも一過性に終わるのか。熱しやすく冷めやすい国民性だと自嘲されるだけに心許なくもある。(桜井紀雄)