また、電力使用量の1日の推移からは、脱原発の“切り札”として期待される太陽光発電が、電力不安の解消に寄与しないことがみてとれる。
今夏は午後4時台以降にピークを迎える日が増えた。これまでは、最も気温が上昇する午後2~3時台が最大となることが多かった。
ピークがずれた理由は、太陽光発電だ。
太陽光発電は日が高い昼前から午後3時ごろに発電のピークが来る。この時間帯は家庭の屋根に取り付けられた太陽光が十分に発電し、家庭内の電気を賄う。九電管内では、需要を17万キロワット程度押し下げる効果がある。
ところが、日射量に大きく左右される太陽光発電は、日が傾く4時ごろから出力が一気に下がる。
さらに太陽光発電は気温が高いと、出力が低下する性質を持つ。独立行政法人「産業技術総合研究所」によると、温度が10度上がると、発電効率は2~5%程度下がるという。年間平均の発電効率が12%前後なことを考えれば、小さくない数字といえる。
午後4時ごろは気温はまだ高い。太陽光の出力が急速に低下する半面、冷房は欠かせないため、この時間帯に需要のピークが来るようになった。
どれだけ普及しても、太陽光発電が電力のピークカットに貢献できるのは、正午前後の数時間に過ぎないことがデータから明らかになったといえる。