火力発電の増強対策などを進めたものの、「これ以上の大幅な積み上げは難しい」(同社幹部)というのが実情だ。
政府は今夏、原発の稼働停止に伴う電力不足対策として、計画停電の仕組みを関西、北海道、四国、九州の4電力管内に導入。気温の上昇による冷房需要の増加などで需要が供給力を上回る恐れが高まれば、大規模停電を未然に防ぐため、政府が警報を発令して地域ごとに電力を停止することにした。
ただ、政府内では「冬の北海道での計画停電は人命に関わり、セーフティーネットにならない」(政府幹部)と、夏場の計画停電よりも危険性が高いと導入を見送る。
一方、北海道電の電力需給が綱渡りの状況は変わらない。このため、政府は、数値付き節電目標の導入も議論の対象にする。
11日には、経済産業省を訪れた北海道の高橋はるみ知事が枝野幸男経産相に対し、道内で冬の電力需給が逼迫する事態に備え、正確な需給予測に基づく安定供給対策を早期に講じるよう求める緊急要望書を提出。知事は冬の電力不足が暖房、道路の融雪に及ぼす影響を挙げ、「まさに命の問題だ」と強調した。経産相は「地元としっかり連携したい。影響は夏以上だ」と危機感を示した。