タワマン主婦、エレベーターでも強い“階”層意識 湾岸エリアは特に顕著!?

 
成功者のステータスとされるタワーマンション(写真と本文は関係ありません)
成功者のステータスとされるタワーマンション(写真と本文は関係ありません)

 タワーマンションが何かと話題だ。高層階と低層階で固定資産税を差別化しようとの動きが出ているほか、住人間の「格差」を題材にしたテレビドラマや雑誌の特集も相次いでいる。華やかなイメージのタワマンだが、そこに住むセレブ主婦たちは意外な「ご法度」や「タブー」に縛られているという。

 政府は20階建て以上の新築タワマンの固定資産税について、高層階は増税、低層階を減税する方針で不公平感の解消を目指す。

 都心のタワマンは50階以上の建物も多く、階数が高くなるほど販売価格が上昇するのも特徴で「1階上がるごとに『100万円程度ずつ上昇する』とも言われる。上に行くほど暮らす世帯の所得水準は高くなると考えられ、高層階に住むことはいわば『成功者の証』と捉えることもできる」と住宅ジャーナリストの榊淳司氏は解説する。

 実際、住人は階数によって“ヒエラルキー(階層)”の意識を抱きやすいようで、エレベーターの乗り降り一つにもその傾向はうかがえる。榊氏は、エレベーターが32階より上に行くものと、31階までで止まるものがあるタワマンでのエピソードを紹介する。

 「31階の住人は下に降りる際、エレベーターが止められるたびに『遅くなるじゃない』とイライラしていたそう。それが、わけあって33階に引っ越すことになると、今度は上から降りてくるエレベーターに途中で乗り込む立場になり、今は『肩身が狭い』と漏らしている」

 低層階の住人が高層階の住人から「さげすまれているように感じる」という声も実際に耳にするという。子育て世帯の間では、高層階の主婦が偉そうに振る舞うといった場面も一部であるようだ。

 こうしたヒエラルキーは、東京の豊洲や有明といった「湾岸エリア」のタワマン住人が抱きやすいと榊氏はいう。

 「湾岸エリアのタワマン住人は地方出身者が多い。ITベンチャーなどで成功を収め、ステータスを求めてタワマンに住む傾向がある。売り手側もその点をよく心得ていて、ターゲット層は『見えっ張り』と分析した上で、彼らのプライドや購入マインドを刺激する販売戦略を仕掛けている」

 ちなみに「東京生まれの東京育ち」といった人々は、湾岸エリアのタワマンに憧れることは少ないという。

 一方で、タワマンに住む“本物のセレブ”たちの間では、「ひけらかし」はご法度との指摘もある。

 『ママの世界はいつも戦争』(ベスト新書)などの著書を持つノンフィクションライターの杉浦由美子氏はこう語る。

 「セレブ主婦たちは持ち物も着る物も『とにかく浮かないように』が鉄則。カースト(身分制度)を作り出さないように気を使って生きている」

 中でも、夫の職業を聞くことはタブーだという。「旦那の職業を聞くことは、カーストを生み出すことになりかねない。彼女たちは目立つことで陰口をたたかれ、自分や子供がコミュニティーから疎外されることを恐れている」と杉浦氏。そのため、定期的なランチ会などもイヤイヤこなすケースも多いようだ。

 対立を嫌うセレブ主婦たちだが、「教育に熱心なママは放任主義のママを許せないといった子育ての価値観を巡る対立は激しい」(杉浦氏)とも。

 セレブを取り巻く世界もなかなか大変だ。