ゴジラはどういう状態なのか 仕留める方法が心配
SF考察公開から1カ月がたっても、とくに中高年の間でいまだに人気のある映画「シン・ゴジラ」。もちろんSFなので、科学的に突っ込んでいてはきりがないし、野暮というもの。だが、実際に“巨大不明生物”が出現したら記者として現場に回る身として、考察してみたい。若干のネタバレ部分もあるが、ご了承願いたい。(原田成樹)
平成23(2011)年3月11日の翌日だったか、私は東日本大震災に伴う福島第1原発事故の発生を受け、経済産業省、原子力安全・保安院(当時)、内閣府、文部科学省、東京電力などを担当する取材グループに入った。シン・ゴジラに出てくる内閣府や各省庁のシーンはこの当時の様子によく似ている。
世界のほとんどの科学者が未経験の“怪物が動く”たびに夜中でも会見は始まるため、映画のように記者クラブや会見室で仮眠をとりながら刻々と変化する状況を読者に伝えた。未経験の事象であり、専門家や行政官からの一方的な伝達に止まらず、記者の質問に即答できないことも多い。必然と、「宿題にしてください」という回答が連発した。
映画で主人公が、核分裂をエネルギーとしているゴジラを仕留める方法としてある方法を編み出した。原発に例えると、アクシデントを起こすことで、ゴジラの活動が止まるという仮説で、その作戦が実行されるのだが、見ていてメルトダウンが起きるのではないかと心配になった。悠長に考えている暇はないから一か八かでやったのかもしれないが、もし現実なら、記者会見は長引き、地球全体の問題ととらえる諸外国からも横やりが入ったはずだ。
ひとまず効果があったようだが、これから第二幕が始まるのだろうか。
なお、シン・ゴジラは随所で八岐大蛇(やまたのおろち)伝説をモチーフにしたことをうかがわせる。伝説では、化け物に酒を飲ませて酔わせ、切り刻む。続編があれば、ゴジラの鋼のような肉体を何で切るのか?。人工ダイヤモンドなのか、レーザー光線なのか。
ちなみに、映画の中では、海洋研究者の取材に基づいたとみられるゴジラに関する設定や、進化や生殖などのキーワードもある。SF要素満載で、科学記者もワクワクさせる。
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