サーバー4台が全てダウン 航空評論家の青木謙知氏は「LCCにも影響、責任重い」

全日空システム障害
全日空の主なシステム障害

 全日空の大規模なシステム障害のきっかけは「エイブル」と呼ばれる国内線システムのホストコンピューター内で発生した。同社によると、22日午前3時44分、航空券の予約や販売、搭乗をつかさどるサーバー4台のうち1台が突然停止。残る3台から切り離して改修作業を続けたが、8時15分にさらに2台、同22分には最後の1台も停止した。

 その後の復旧作業では、2台目を起動すると、先に立ち上げた1台が停止するという事態が繰り返された。この時点でバックアップのシステムに切り替えることもできたが、全日空は離陸のピークとなる時間帯でのシステム完全停止を避け、空港の業務に絞って1台で対応する道を選んだ。

 午前11時半には搭乗、午後0時46分には予約、発券などの業務が再開。一方、国内線のインターネットや旅行会社経由の予約・販売システムは障害が長引いた。22日深夜から復旧作業を本格化し、23日朝には完全復旧する見通しだ。

 1台目が停止した原因はまだ不明だが、全日空は「4台間の同期(情報共有)機能に何らかの問題がある」とみている。サイバー攻撃などの外的要因はないという。

 全日空で平成19、20年に相次いだ障害は全て同種の国内線システムだ。25年には大規模な更新を行い、「人間はミスをするもの」との前提のもとに設計した上で、監視体制や教育も強化した。

 しかし、今年2月24日にもサーバーの外部監視システムの変更作業ミスでシステム障害が発生。搭乗手続きができなくなって18便が遅延し、約3千人に影響があったばかりだ。

 航空評論家の青木謙知氏は「全日空は格安航空会社(LCC)に資本参加しており影響が大きい分、責任も重い」と指摘し、再発防止の徹底を求めた。