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若い女性に人気の「ネオ居酒屋」 メニューも価格も庶民的…何が“ネオ”なの? (2/2ページ)

SankeiBiz編集部
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 カレー味のたくあんにチーズとオリーブオイル…

 「この店を始める前に、都内の老舗居酒屋を何店もめぐりました。なんで店を長く続けられるのだろうかと。どの店もレモンサワー、ポテサラ、煮込みは絶対にメニューにある。この3つは絶対に外せないと思いました」

 そのポテサラには意表を突かれた。荒めにマッシュされたポテトの上に、なんとカレー味のたくあんがのっているではないか。カレーとたくあんは黄色という共通項はあるものの、意外な取り合わせ。それにポテトサラダ。こういうのを無国籍料理というのだろうか。

 マヨネーズとカレー、そして、たくあん。よく見るとパルメザンチーズが添えられ、最後にオリーブオイルがひとふりかけられている。「普通のポテサラでいいんだよ!」。一瞬そんな思いもよぎったが、レモンサワーではいい意味で裏切られている。今度はどうか。なるほど、そうきたかと思わず唸(うな)ってしまった。紛うことなき旨いポテサラだった。絶妙なバランス。かの魯山人ならぬ呑兵衛の上司も、このポテサラなら納得するはずだ。

 このポテサラも自慢の「牛スジ豆富の煮込み」も税抜き580円。このほか、広島県三原市で育てられたという「神明鶏の肉汁焼き」や「季節の春巻き」など、酒のあてにうってつけのメニューが豊富にそろっている。

 店内はカウンター席、テーブル席のほかに、ロフト部分にちゃぶ台の置かれた座敷席もある。天井が低く、“秘密基地”のような雰囲気だ。高丸さんによると、おじんじょをオープンして1、2年経った頃からSNSなどで「ネオ居酒屋」「ネオ大衆酒場」といった言葉が使われはじめ、近年、一気にブームになったという。

 全国約7000店の飲食店のデータを持つ「テーブルチェック」(東京)によると、ネオ居酒屋やネオ大衆酒場とは、「数十年続く老舗の大衆酒場や居酒屋を研究した若い世代のオーナーたちが自分たちの解釈やエッセンスを加えて作った店舗」を指すという。

 担当者は「老舗の酒場よりも敷居が低く、リーズナブルかつクオリティの高いメニューが揃い、少しだけ今どきなおしゃれ感があって、気兼ねなく楽しめるといった要素が受けたのではないでしょうか」と分析。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、居酒屋業態が厳しい状況にあるが、「ネオ居酒屋業態は、根強い人気がある」としている。

 赤ちょうちんの灯はなくとも、のれんの奥から笑い声が漏れてくる光景は、サラリーマンの癒しの場と同じ。ネオ居酒屋と居酒屋の違いを明確に説明するのは難しいが、大衆的な酒場の伝統は受け継ぎつつ、洗練された内装やメニューで、女性も気軽に入れる「オシャンティー」な雰囲気を醸しだしているのが、「ネオ居酒屋」ということなのかもしれない。

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部 SankeiBiz編集部員
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