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地方創生実験、淡路島で挑む パソナ取り組む農業活性 就農者育て食文化発信 (2/2ページ)

 にぎわう交流拠点

 タネノチカラが持続可能な農の発信拠点なら、自然栽培の野菜を効率的に量産化しているのが「ビオアグリ」だ。社内ベンチャーとして15年6月に設立された。2.5ヘクタールの農地で「無肥料・無農薬・自然のチカラだけ」で約40種類の野菜を育てている。

 島内で自然栽培を手がける地元5農家と契約し共同出荷することで、それぞれの収穫量の少なさを補い販路を開拓。おいしさが認められてヒルトン大阪や品川プリンスホテル、ザ・リッツ・カールトン京都などに出荷している。

 阪神・淡路大震災の震源地・野島断層。大きな被害を受けたこの場所で、過疎化により廃校になった小学校をリノベーションした「のじまスコーラ」がオープンしたのは12年8月。

 元教室だったスペースは直売場に生まれ変わり、ビオアグリで生産された野菜のほか、約30の地元農家で栽培された生鮮品や加工品がそろう。元家庭科室・和室などは淡路島産食材を使った料理を楽しめるレストランになった。目の前に海が広がる3階ではテラスでバーベキューが楽しめるほか、元理科室は料理教室、音楽室はキッズスペースなどとして使われている。

 今では憩いの場となり、平日は300人(島内が4割)、休日になると600人(島外が9割)が訪れる。運営する「パソナふるさとインキュベーション」の瀬川康弘社長は「廃校利用による6次産業化・地域住民の交流の場の成功モデルとして全国から視察に来る」と話す。

 のじまスコーラは日本の農業が抱える課題解決に向けた実証施設といえる。パソナの進出に対し島内では賛否両論が聞こえるが、人口流出が進む淡路島にとって同社が開設した飲食・観光施設が交流人口の増加をもたらしているのは確かだ。(松岡健夫)

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