鉄道新時代

“車内を見える化”で存在感を見せる三菱電機 世界に先駆け自動化も (1/2ページ)

 運行高度化など、IoT技術力活用し解決

 人口減少、デジタル化、グローバル化…。

 日本の経済社会は、この三大トレンドを前に事業構造の大変革が求められている。もはやこれまでの延長線上には将来が描けない。多くの企業が、この大変革の中で構造改革を急いでいる。こうした動きは、安定的な事業基盤の上に成り立っているとみられがちな鉄道関連事業にとっても例外ではない。

 車内を“見える化”

 「鉄道の場合、事業全体に占める保守関連コストの割合は2~3割ともいわれている。労働人口減少を背景とした人手不足の中で、鉄道車両や関連設備の維持管理、保守を担う人材の確保も課題となりつつある」(三菱電機の福嶋秀樹・執行役員社会システム事業本部副事業本部長兼神戸製作所長)

 そして、改革の中核であり鍵を握るのはデジタル化。鉄道会社にとっては、維持管理や保守の省力化や自動化に加え、運行の高度化や利用者に対する案内など、さまざまな分野でIoT(モノのインターネット)化や人工知能(AI)の活用といったデジタル化が求められている。こうした中で、ひときわ存在感を高めているのが三菱電機だ。

 同社は鉄道車両を手掛けていない。このため、鉄道関連企業というイメージは持たれにくいが、モーターやブレーキにはじまり、車上にあるさまざまな制御装置、車内のディスプレーやエアコンなど、それこそ車両そのもの以外は何でもそろう国内有数の“鉄道関連企業”なのだ。さらに、注目されているのはIoT関連の技術力。同社の鉄道分野における戦略も、デジタル化が前面に押し出されている。いわば、鉄道版の“ITソリューション”展開に主眼が置かれている。

 今年2月、同社は東京メトロに丸ノ内線新車両「2000系」向けの「車両情報監視・分析システム(TIMA)」を納入した。これはIoTとビッグデータ、可視化・分析技術を駆使し、運行中の車両のさまざまな情報を収集し活用するというもの。

 最新の車両制御情報管理(TIS)装置が搭載されている「2000系」の場合、車両の位置や車内の温度、混雑度などさまざまな情報が得られ、これらをデータセンターに随時伝送。収集した情報を蓄積することで、車両の状態も含めた“見える化”を実現する。また、異常発生時は位置や状態に関するデータを指令所や車両基地に配信し、乗務員と指令員、検修作業員間の情報共有を迅速で正確なものにする。これができると「スムーズな処置が実現し、運行支障時間の短縮にもつながる。さらに、TISが収集する車両搭載機器の電流や電圧をはじめとする詳細な動作データを蓄積し、そのビッグデータを分析することで、保守や部品交換周期などの最適化も実現したい」(福嶋氏)という。

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