日本の企業の強みは、「カイゼン」であるとよく言われる。現場からの改善提案を基に、お客さまのニーズを先取りして現場とすり合わせをし、製品を完成させる。このサイクルで日本企業は大きな成長を収めてきたのは事実だ。家電はより小さくなり機能が追加され、しかも安くなった。1980年代から90年にかけて世界を席巻していった。これをイノベーションだと当時は皆錯覚していた。(旭川大学客員教授・増山壽一)
しかし、真のイノベーションは全く違うところから生まれた。まさしく米シリコンバレーのガレージから、コンピューターの中の仮想空間が生まれたのだ。米アップルのiPhone(アイフォーン)誕生によって、不要となった家電は恐らく30は下らない。
私は、現在環境省の特別参与として、先端的な環境エネルギー技術を日本の地域に広げる活動を行っている。その観点から特に注目しているのが水素技術だ。現在、エネルギーの分野でもかつての家電と同じことが起きようとしている。
人類が火を発見して以降、木材、石炭、石油、天然ガスと、基本的に炭化水素を中心に連続的な発展をしてきた。そして唯一全くの革新的な技術が原子力だ。今話題の再生可能エネルギーは、原点回帰のエネルギーといっていいかもしれない。