日本酒の生産量は減少傾向が続き「高級化せず(ワインなどと比べ)安い酒のままでは、酒蔵の経営は厳しくなる一方だ」と水野社長は危機感を募らせる。黒龍酒造には他の酒蔵から入札会の開催方法などについて既に問い合わせがあるといい、水野社長は「もっと日本酒は評価されていい。いつかワインと肩を並べたい」と意気込む。
「梵」のブランドで知られる加藤吉平商店(鯖江市)は、高価格帯の新商品を来年にも発売予定。試飲したバイヤーの意見を参考に価格を決めるが、従来商品の十数倍を見込んでいる。山口市の商社「アーキス」は平成28年、750ミリリットルで約9万円の高級日本酒「夢雀」を発売し話題になった。売れ行きは好調という。
日本酒造組合中央会の担当者は「消費者の好みが量から質に変わり、高級志向へシフトしつつある」と分析する。日本酒市場が縮小する中でも、吟醸酒や純米酒、本醸造酒といった比較的高価な日本酒は生産が増えている。海外の富裕層からの需要も拡大するとみられており、高価格帯への転換を目指す酒蔵の動きは広がりそうだ。