日本酒の新ブランド、異例の入札会 「想定外の高値」福井の酒蔵、高価格市場を開拓 (1/2ページ)

 福井県を代表する地酒「黒龍」の酒蔵として知られる黒龍酒造(永平寺町)が新ブランド「無二」の入札会を東京都内で開いた。入札で価格を決めるのは日本酒業界では異例だ。目利きのバイヤーが試飲し、入札で高値をつけることで、高くても消費者が納得するブランド商品を目指す。ワインやウイスキーなどと比べて小さい高級品市場の拡大を図る動きが業界で相次いでいる。

黒龍酒造の新ブランド「無二」の入札会に参加したバイヤー=6月、東京・西麻布

黒龍酒造の新ブランド「無二」の入札会に参加したバイヤー=6月、東京・西麻布

 入札会は東京・西麻布のレストランで6月中旬に行われた。並んだ酒は「無二」の醸造年が異なる4種類。全国66の酒屋からバイヤーが集まり、真剣なまなざしで試飲と入札に臨んだ。応札者が多く、黒龍酒造が当初提示した価格を大幅に上回って落札された。具体的な落札価格は公表していない。

 黒龍酒造の最高級酒「石田屋」は720ミリリットル瓶が約1万円だが、今回落札された無二はその数倍から十数倍の価格で小売り販売されるとみられる。水野直人社長(53)も「想定外(の高値)だった」と驚く。バイヤーからは「この味なら高価格でも間違いなく売れる」という声が出ていた。飲食店などに卸され秋ごろ店頭へ並ぶ見込みだ。

「消費者の好み、量から質に」