JR西によると、豪雨により近畿・中国地方の鉄道は7月11日時点で12路線15区間が運休。施設被害も279カ所で確認された。JR西は、電源設備が水没し復旧まで1年以上かかるとしていた木次(きすき)線出雲横田-備後落合間について、被害を受けていない路線から電源ケーブルを引くなどして8月上旬に運転を再開。山陽線なども当初より1カ月前倒し、10月中に全線復旧させるとしている。
ただ、運休が長期化している沿線住民の間からは、「このまま廃線になるのでは」との懸念の声が漏れる。JR西は各路線の収支を公表していないが、採算ラインは1日1キロ当たりの平均利用者数を示す輸送密度で2千人以上。平成28年の芸備線備後落合-三次間の輸送密度は225人、福塩線塩町-府中間は206人で、いずれも「赤字路線」だ。
災害に伴う赤字路線の廃線をめぐっては、岩手県のJR岩泉(いわいずみ)線が22年に発生した土砂災害の影響で4年後に廃線。東日本大震災の津波被害を受けた東北地方を走る大船渡線の一部と気仙沼線は、バス高速輸送システムに切り替えられた。