西日本豪雨で続く鉄道網の寸断 貨物列車も運休、代替輸送能力は被災前の13%に (1/4ページ)

 西日本豪雨による鉄道網の寸断は被災から1カ月以上経過した今も続いており、各方面に影響が出ている。特に深刻なのは物流だ。中国地方の輸送の大動脈を担うJR山陽線は三原(広島県三原市)-海田市(同県海田町)間と下松(くだまつ)(山口県下松市)-柳井(同県柳井市)間で運休。これにより同区間を使用する貨物路線も止まったままで、西日本の物流は大きな打撃を受けている。

JR芸備線の狩留家-白木山間で橋が流失し、現在も線路が流木などでふさがっている=5日午前、広島市安佐北区(宮崎瑞穂撮影)

JR芸備線の狩留家-白木山間で橋が流失し、現在も線路が流木などでふさがっている=5日午前、広島市安佐北区(宮崎瑞穂撮影)

 トラックなどに比べて定時制や大量輸送の面で優れる貨物列車は、近年のドライバー不足もあって取扱量は増加傾向にある。JR貨物によると、山陽線で輸送されていた1日当たりの貨物は全国の約3分の1に当たる約2万7千トン。上りは宅配貨物、農産品、食料品など、下りは宅配貨物、雑誌書籍、食料品が多くを占めている。

 しかし、西日本豪雨以降、山陽線を走る貨物列車は三原以西で全て運休。JR貨物の担当者は「中国地方発着を中心に荷物を受け付けられない状況」と打ち明ける。

 JR貨物は、トラックやフェリーを代替の輸送手段としているが、1編成で最大650トン、10トントラック65台分という貨物列車の能力には全く及ばず、被災前の13%程度しか輸送できていない。貨物列車を使っていた各業者は、自前でトラックをチャーターするなど輸送力の確保に追われている。

運休長期化するローカル線