大塚家具、代替案なき改革 社会構造・ライフスタイルの変化で苦戦 支援企業探しの道険し (2/3ページ)

大塚家具の大塚久美子社長
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 経営不振の責任を久美子氏だけに押し付けるのは酷な面もある。勝久氏が主に都市部の富裕層を相手に築き上げた会員制の販売モデルは、バブル崩壊後の景気低迷で既に行き詰まっていた。

 家具の売れ行きを左右する住宅着工戸数が08年のリーマン・ショックで激減してからも、勝久氏は、昔ながらの成功体験に固執。より幅広い客層を取り込みたい若手幹部や株主の不満がたまり、追放劇の伏線になった。

 低価格帯にも強敵

 「昔は結婚や引っ越しの際に数百万円分まとめ買いする客が多かった」。OB社員は振り返るが、社会構造は大きく変わった。1972年に約110万組とピークに達した全国の婚姻数は15年に約63万組まで減少した。

 近年は、低価格の家具を提供するニトリホールディングスや良品計画といった製造小売業が台頭。ライフスタイルも変化し「家具を季節ごとにファッションのように買い替える人が多くなった」(ニトリ幹部)。久美子氏に会社を追われた後、「匠大塚」を創業して高級路線を貫く勝久氏も苦戦しているとされる。

 投資ファンド幹部は「旗艦店を残して早く規模を縮小すべきだった」と述べ、久美子氏の「判断ミス」を指摘する。赤字経営下で株主配当を続けた姿勢にも「親子対立の際に味方になってもらった株主への配慮だろう」と疑念を口にする。

 支援マネーを求めて複数の企業やファンドと交渉を続ける大塚家具について「このタイミングでうちが投資することはない」と突き放した。

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