東宝(東京都千代田区)の市川南常務取締役は、会見で「西村義明プロデューサーから提案を受けて、ふたつ返事でやりましょうと答えた。東宝にとっても新しいチャレンジになる」と訴えた。「ポノック短編劇場」が成功すれば、3人のベテランアニメーターに続く業界の重鎮や若手、業界以外で活躍するマンガ家や実写映画の監督といったクリエーターが参加し、短編アニメーションを作ってくれる可能性もありそうだ。
映像の歴史に革新を
短編アニメーションを、技術や企画を生み出すプラットフォームとして活用する動きは以前からある。「トイ・ストーリー」などのCGアニメーション映画で知られるピクサー・アニメーション・スタジオでは、長編作品の公開に合わせて短編アニメーションを併映する試みを長く続けている。気鋭のクリエーターを起用し、新しい映像表現や企画などに挑ませている。2012年の長編「メリダとおそろしの森」でアカデミー賞長編アニメ賞を獲得したマーク・アンドリュース監督は、長編「カーズ」と同時公開された短編「ワン・マン・バンド」を2005年に作り、アカデミー賞短編アニメ部門にノミネートされる成果を上げた。
日本では、「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野秀明監督が率いるスタジオカラーとドワンゴ(東京都中央区)が共同で「日本アニメ(ーター)見本市」というプロジェクトを立ち上げ、アニメーターやマンガ家、小説家、イラストレーターなど多彩なクリエーターに短編アニメーションを作ってもらい、ネットで配信する試みを行っていた。ここからは、同名の短編作品を元に「龍の歯医者」という長編作品が生まれ、「SSSS.GRIDMAN」というテレビシリーズも近く登場してくる。