「メアリと魔女の花」のスタジオポノック、短編アニメ映画のレーベル創設 今夏3作品公開へ (1/4ページ)

 アニメーション映画といえば、宮崎駿監督や高畑勲監督が手がけてきた長編作品がまず浮かぶ。そうした認識が改まり、短編のアニメーション映画を楽しむ動きがこれから強まってくるかもしれない。スタジオジブリ出身のプロデューサーが立ち上げたアニメーション制作会社のスタジオポノック(東京都武蔵野市)では、短編アニメーション映画を作るレーベル「ポノック短編劇場」を立ち上げ、今夏に3本の作品を劇場公開する予定。クリエーターにとっても新しい技術やアイデアを盛り込んだ作品に挑める場となりそう。長編も含めたアニメーションへの観客の認識が、ここから変わっていくかもしれない。

 「世の中や子供たちに提示できるもの」を再発見する場の創設

 「2020年以降の先行きが見えない中で、世の中や子供たちに何を提示できるか。自分たちに勇気を与えてくれる存在をそのまま映画にしたら、勇気や希望を持ってもらえるのではないか」。3月27日に東京都千代田区の東宝試写室で開かれたスタジオポノックの新プロジェクト発表会で、プロデューサーも務める西村義明代表取締役はこう話して、華々しい活躍をするヒーローではなく、一生懸命に生きている人たちを“小さな英雄”として描く必要性を訴えた。

 本来だったら、そうしたテーマを2時間ほどの長編作品にして見せていたが、「思い出のマーニー」の米林宏昌監督を擁して長編「メアリと魔女の花」を作り、2017年に公開したこともあり、西村プロデューサーは「1本の長編アニメーション映画を作るのは精魂を使う。空っぽになってしまった」と説明。また「いろいろなところで映画が作られており、配信も始まった」状況で「新しいアニメーションを作るためには、前と違った意識を持たなくてはならない」と感じたことも打ち明けた。

「自分たちで次なるステップを」