フォーアールエナジー浪江事業所の従業員は10人だが、牧野英治社長は「2020年には40~50人くらいに増やし、年1万個程度を処理できるようにしたい」と述べた。工場の規模が拡大すれば、福島第1原発事故の影響による避難指示の解除後も住民の帰還が進まない浪江町の復興にも貢献しそうだ。
中古車の価値向上も
再利用が必要とされる背景にはEVの需要拡大のほか、原料となるリチウムやコバルトの価格高騰がある。
また日産は、環境整備により中古EVの価値を高めたい考え。電池の劣化懸念のため、「EVの再販価格が通常の車より低めで、新車購入時の不安材料になっている」(坂本氏)という課題があった。
EVの普及が進めば、再利用の重要性が増すのは確実だ。他社の電池の処理について牧野氏は「喜んでやりたいが、自動車会社や電池メーカーが電池の情報を開示してくれないと難しい」と話している。日産傘下の三菱自動車が参画する可能性はありそうだ。トヨタ自動車もパナソニックとの協業で、EV向け電池の再利用やリサイクルについて検討を進めている。(高橋寛次)