EV使用済み電池を再製品化 日産と住友商事、国内初の専用工場開設 (1/2ページ)

EVの使用済み電池の分解・組み立てを行う作業場。劣化の度合いが近い電池を1つのパックにそろえる=26日、福島県浪江町
EVの使用済み電池の分解・組み立てを行う作業場。劣化の度合いが近い電池を1つのパックにそろえる=26日、福島県浪江町【拡大】

  • EVの使用済み電池再製品化専用工場の開所式で新ビジネスについて語る牧野英治氏=26日、福島県浪江町

 日産自動車と住友商事の共同出資会社、フォーアールエナジー(横浜市)は26日、電気自動車(EV)の使用済みリチウムイオン電池を再製品化する国内初の専用工場を福島県浪江町に開設した。従来の96分の1という短時間で使用済み電池の性能を測定する独自技術により、年2250個の電池を再製品化できる能力を持つ。また日産は同日、EV「リーフ」の電池を新品のほぼ半額で、再生した電池に交換するプログラムを始めると発表。中核部品である電池の再利用を進め、EVの普及に向けた環境を整える。

 5月から有償交換

 リーフには、複数の小さな電池で構成する48個の「モジュール」が1パックとして搭載されている。車の使われ方や温度などの環境によって、どのモジュールがどの程度劣化するかは異なる。状態の把握が重要だが、従来技術では1パックで384時間(16日間)もかかっていた。研究を重ね、これを4時間に短縮することに成功したという。

 劣化の度合いが異なるモジュールを同じパックに入れると、劣化が激しいモジュールが全体の性能を引き下げてしまう。このため、劣化の度合いを3種類に分け、同じレベルのモジュールを集める形でパックをつくる。その中で、最も劣化が進んでいないモジュールを集めたパックは、中古のリーフに搭載する。

 また、5月から始める有償交換プログラムでは、新品なら65万円の容量の電池を、30万円で提供。劣化が進んだ電池パックは、電動フォークリフトや工場電源バックアップ設備などに転用する。日産の坂本秀行副社長は「ここでつくった仕事のやり方を、世界中が見習っていくことになる」と強調した。

浪江町の復興にも貢献へ