日本取引所自主規制法人、不祥事予防の行動原則策定

品質不正の発覚に伴う三菱マテリアルの会見。行動原則の策定で予防に重点を置いた取り組みを企業に促す
品質不正の発覚に伴う三菱マテリアルの会見。行動原則の策定で予防に重点を置いた取り組みを企業に促す【拡大】

 日本取引所グループの傘下で上場審査や上場管理などを担う日本取引所自主規制法人は21日、上場企業向けに不祥事を未然に防ぐための行動原則を策定したと発表した。近年は名門企業などで不正会計やデータ改竄(かいざん)などの不祥事が相次いでおり、これが広がれば資本市場全体の信頼性を損ないかねないと判断。従来の不祥事を認知した後の対応に加え、予防に重点を置いた取り組みを企業に促す。

 名称は「上場会社における不祥事予防のプリンシプル」。意見公募を経て、3月下旬に正式決定する。

 6つの原則で構成し、現場と経営陣の間の双方向のコミュニケーションを充実させ、法令順守意識を共有する▽法令順守に違反した行為を早期に把握し迅速に対処し、重大不祥事への発展を防ぐ▽海外子会社や買収子会社を含むグループ全体に行き渡る実効的な経営管理を行う-などを盛り込んだ。

 また、こうした取り組みを進める上で「経営トップによるリーダーシップの発揮が重要」とした。

 ただ、プリンシプルに拘束力はなく、東京証券取引所の上場規則などに当てはまる行為がなければ処分などの対象にはならない。

 自主規制法人は2016年2月に、不祥事に直面した上場企業に期待される事後的な対応や行動に関する原則を策定。今回はこれに加え、不祥事を未然に防ぐことを主眼とした原則を設ける。佐藤隆文理事長は21日の説明で「プリンシプルが各社の取り組みを見直す契機として活用され、市場の質の向上に役立つことを期待したい」と強調した。

 近年は、15年に発覚した東芝の不正会計問題など上場企業の不祥事が多発。昨年以降も日産自動車やSUBARU(スバル)の無資格検査、神戸製鋼所や三菱マテリアルグループの性能データ改竄など品質管理面の不祥事が表面化した。