【高論卓説】IoTがもたらす特許戦略への影響 (2/3ページ)

 特許戦略的にいえば、同業者の特許だけを気にしていればよかったのにITおよび通信関連の特許も気にかけなければならないということである。また、異業種だから特許に対する考え方も違う。デバイスメーカーといっても、デジタル機器を製造しているようなメーカーはまだしも車や化学品のようないわゆるすり合わせ技術(インテグラル技術)が必要なものを製造しているメーカーではオープンになっている特許技術だけで製品を製造できるわけではなく、独自のノウハウがかなりの部分で必要になってくる。

 これに対し、ITおよび通信関連の技術では、もちろんノウハウが必要な部分もあるが、それよりも技術をいかにうまく組み合わせるかという点が重要となる(モジュール技術)。コネクテッドカーでいえば、ICT端末としての部分はモジュールであり、車の部分はインテグラルということになり、両者が混在している。

 このような業種の違いから特許に対する考え方はかなり異なり、特許ライセンス交渉に対するスタンスも異なってくる。ゆえにライセンス料やライセンス条件といった点で衝突を生みやすい。もっとも、国家もこのような状況に手をこまねいているわけではなく、特許庁は標準必須特許のライセンス交渉に関するガイドラインを策定しようとしている。

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