SUBARU(スバル)は27日、国の規定に反して資格を持たない従業員に、出荷前に新車の最終検査をさせていたと発表した。再検査が必要となる約25万台超のリコール(回収・無償修理)を近く国土交通省に届け出る。対象は全車種で、費用は約50億円強を見込む。無資格検査の発覚は9月の日産自動車に続き2社目となり、自動車業界への不信が強まりそうだ。最終検査をメーカーに一任する国の制度の在り方も問われそうだ。
リコールは販売後、最初の車検を迎えていない車に対し実施する。トヨタ自動車と共同開発して受託生産しているスポーツカー「86(ハチロク)」も含まれている。30日に国交省に経緯を報告した後、届け出る予定。
吉永泰之社長は東京都内で記者会見し、「多大なご迷惑とご心配をお掛けした。トップの責任を非常に強く感じる」と謝罪した。
石井啓一国交相は27日の閣議後の記者会見で、無資格検査は「(新車登録の)制度の根幹を揺るがす行為で極めて遺憾」と述べた。
無資格検査が発覚したのは、群馬県太田市にある群馬製作所の本工場と矢島工場。一定の教育と試験を受けた従業員に「仮免許」のような資格を与え、実務経験を積ませる仕組みで、30年以上前からの慣習だったという。経験を積めば無資格者が1人で作業するという。正規検査員が無資格者にはんこを貸与して、検査の記録書類に押印させる偽装も常態化していた。
無資格者は今年10月1日時点で4人。正規検査員は245人おり、吉永氏は人手不足が原因ではないとも強調した。今後は検査体制を見直す。