【郵政の苦闘 民営化10年】(中)ゆうちょ銀・かんぽ生命、道半ばの運用改革 収益重視へ意識向上がカギ (2/2ページ)

地方銀行25行の手続きができる「銀行手続の窓口」。新宿郵便局の一角に設けられ、地銀との良好な関係を象徴する=26日、東京都新宿区
地方銀行25行の手続きができる「銀行手続の窓口」。新宿郵便局の一角に設けられ、地銀との良好な関係を象徴する=26日、東京都新宿区【拡大】

 3月末の有価証券の含み益は、1年前から2117億円増えた。親会社、日本郵政の長門正貢社長は「期待通りの成果を挙げてくれた」と評価する。

 変わってきたのは、運用部門だけではない。26日には新宿郵便局(東京都新宿区)の一角に「銀行手続の窓口」が登場した。地方銀行25行の住所変更やカード再発行などの手続きが1カ所でできる。転勤などで地方から東京に出てきた利用者を想定している。

 地銀は、国の信用力を背景に貯金を集めてきた郵便貯金事業時代から、ゆうちょ銀とは対立してきた経緯がある。この窓口はあくまで日本郵便との連携だが、日本郵政グループとの“蜜月”を象徴する。窓口を運営する日本ATMの竹田茂取締役上席執行役員は「各行に声をかけると、『郵便局に置くのか』と驚かれた」と話す。

 昨年4月、ゆうちょ銀の社長に横浜銀行出身の池田憲人氏が就任。共同でファンドを立ち上げるなど、地銀との連携強化に乗り出した。窓口に関しても、宮崎県の郵便局の一角に宮崎銀行の現金自動預払機(ATM)コーナーを設置した。

 一方のかんぽ生命保険も、運用環境が厳しいのは同じだ。植平光彦社長は、「外国債券などを買っていく。許容度の範囲内でリスクの高い資産にも投資していきたい」と話す。

 グループの業績の牽引(けんいん)役としての期待が大きい金融2社だが、いずれも17年3月期まで、経常利益は2年連続の減益と、逆風を十分にははね返せていない。佐護副社長は「運用改革を進めても、最悪の外部環境にのみ込まれてしまう懸念もある。また、オルタナティブ投資が本格的に利益貢献するまでは、7~10年かかるだろう」と話す。行員の意識と同じで、運用改革も一朝一夕ではならず、「変革への意欲」を持ち続けることが必要とされている。

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