人件費削減に向けては、首都圏で宅配ロッカーなど約6000カ所で受け取れる態勢を整えるほか、再配達削減協力者へのポイント付与も行う。
ふるさと納税の返礼品人気の恩恵を受けて、上士幌町の「上士幌郵便局」では、自治体やふるさと納税事業者との関係づくりに注力した結果、「返礼品を郵送する料金収入などで年間の局の売り上げが一気に3倍に増えた」(近藤岳男局長)という。
ただ、はがきの値上げは300億円、ゆうパックでは80億円の増収効果にとどまる。高齢者の「みまもりサービス」では、タブレット端末500万台を全国に配布する構想を打ち出していたが、撤回した。全国の郵便局員がタブレットで高齢者の健康状態を遠くの家族に送信するという現実的な手法に切り替えるなど、事業縮小を余儀なくされた。
「ユニバーサルサービスの維持と収益力強化の両立は“狭い道”だが、矛盾ではない。やれることをコツコツやる」。長門社長の言葉通り、日本郵便の業績改善に近道はない。