不動産市場で、老朽化した分譲マンションの建て替え事業を強化する動きが相次いでいる。新日鉄興和不動産(東京都港区)は「マンション再生総研」という新組織を発足、建て替えに関する東京大学との共同研究に乗り出した。旭化成不動産レジデンス(同新宿区)は9月から都内で、野村不動産も千葉県内で、それぞれ建て替え事業を進める。
築40年以上63万戸
国内では築40年以上の分譲マンションが既に約63万戸(2015年末時点)に上り、今後も“建て替え適齢期”の物件が増えることから各社は事業ノウハウを磨き、需要を取り込む狙いだ。
分譲マンションの建て替えには区分所有者の5分の4以上の賛成が必要だが、費用負担など経済的な理由や、心理面など住民個別の事情などで合意が得られず、老朽化しても建て替えが進んでいない状況がある。15年末時点で、建て替えを完了している物件は3%に満たないとのデータもあり、潜在需要は大きい。
そこで、新日鉄興和不動産は東大の「高齢社会総合研究機構」と連携し「超高齢社会に対応したマンション建替問題研究会」を設立。マンション所有者の反対理由などを分析し、住民の高齢化が進むほど合意形成が難しいとされる建て替え問題の解決の道を探り、研究成果を情報発信するなどして「建て替えの促進につながるようにする」(関口眞人執行役員)考えだ。