多忙にもかかわらず、「来年からは先生になる。理事長兼教授やな。3カ月に1回は講義する」と意気軒高だ。京都市内で6月に行われた日本電産の株主総会では、普段は日本電産に関係がない質問は「拒否」していたのに、大学関係となると上機嫌に。
「京都学園大にお孫さんを入れるなら、今ですよ。しばらくしたら、簡単に入れませんで。これからこの大学は良くなりますから」とPRし、「周囲はひっくり返っているが、京大を抜く気持ちで(大学経営を)やりますよ」と高らかに宣言した。
“生涯経営者”強調
そんな“ライバル”の京大に、日本電産は4月、2億円超を投じてモーター技術を研究する寄付講座を設けた。
「(日本電産が優秀な京大生を)獲るために講座をつくったわけではない。そんな心が狭いことは言わない。日本のモーター技術の水準を上げるためや」。発表の記者会見で永守氏はこう笑い飛ばした。
京大では約20年ぶりのモーター技術を教える講座が復活した形になる。こうした大学の状況に、永守氏は危機感を覚えている。
「大学にモーターの研究講座がないのは社会問題。将来、中国とかに全部技術をとられたら、えらいことになる。日本に技術がなくなる」。日本電産で稼いだ利益を日本国内の大学に寄付することで「人材育成の好循環が生まれる」と期待を込める。
6月の株主総会では株主から自身の後継者問題を問われ、「健康状態は心配いりません。まだやりまっせ。120までやりますから」と“生涯経営者”である姿勢を強調した。
まだまだ名物経営者の動向から目が離せない。