期待を一身に背負う永守氏。毎年発表される世界の大学ランキングで100位以内の日本の大学は東京大と京都大の2校のみという現状を念頭に、「日本の大学はぜんぜんあかん。われわれ企業など世の中がほしい人材を卒業させていないからや。英語もできない」と手厳しい。
今後の大学経営は企業経営と同じとし、「やっぱり世の中のニーズがある人材を育てるのが一番」と指摘。今後の京都学園大の卒業生は「英語を話せるのは当然」で、具体的なところでは、経済系学部では起業を目指す学生を育て、3年後の開設を目指す工学部(仮称)ではモーターやロボット、人工知能(AI)に詳しい人材を育てる方針だ。
「京大を抜く」
人材育成に力を入れるのは、日本電産の将来を見据えてのことでもる。
電気自動車(EV)やロボット、ドローンなど機械で電装化が進む中、動力源となるモーターは「鉄や半導体のように産業のコメになる」と永守氏。しかし、今後の世の中の需要を考えると、同社は「最大の問題は技術者不足。モーター技術者が足りない」というのだ。
大卒の新入社員を大量採用しても「モーターが分かる技術者はほとんどいない」のが現状という。
永守氏は工学系大学をつくり、モーターに詳しい技術者を育てる夢を膨らませていた。そうした中、京都学園側から「経営をお願いしたい」と打診があり、理事長就任を快諾。私財の投入も決めた。