【被災地へ 石油列車】JR東、予備機関車を準備 (3/3ページ)

JR東日本の会津若松駅長だった渡辺光浩さん
JR東日本の会津若松駅長だった渡辺光浩さん【拡大】

 ◆的中した不安

 目の前の踏切を予定時刻通りに通過した石油列車初便を見送って、安堵(あんど)のため息をついた。携帯電話のメールで、上司で石油部長(当時)の原昌一郎さんに「今、列車が通過しました」と伝えた。メールに起こされた原さんは「了解」とだけ返信した。

 待っていた友人の車に乗り込む渡辺さん。「次はどこに行く?」「猪苗代湖畔のポイントに先回りしよう」。曲がりくねった山道を四輪駆動の車が進む。山間部に入るとみぞれは雪に変わった。「タイヤはスタッドレスだよな」。渡辺さんの問いに友人は「そうだけど、あんまり積もると走れないからね」と顔を曇らせた。

 会津若松駅を出発した石油列車は広田駅、東長原駅を通過。ようやく白み始めた空の下、目を凝らすと線路脇にはかなりの積雪が見て取れた。深い霧で視界が悪い。大粒の雪が舞い始めた。出発してまだ30分もたっていない。これから本格的な山道に入るというのに。磐梯町駅付近に差し掛かったとき、運転席の空転ランプが初めて点灯した。機関車の馬力が車輪とレールの摩擦を超えて空転し始めたのだ。遠藤さんはすかさずスピードを落とし、レールに車重をかけていく。戦いが始まった。

 猪苗代湖畔駅近くに先回りしたJOTの渡辺さん。待てど暮らせど石油列車がやってこない。「止まったのかもしれない」。その不安は的中する。

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