【被災地へ 石油列車】JR東、予備機関車を準備 (2/3ページ)

JR東日本の会津若松駅長だった渡辺光浩さん
JR東日本の会津若松駅長だった渡辺光浩さん【拡大】

 ◆一秒でも早く

 今回の石油輸送は、背景に政府の意向があるものの、基本的にはJR貨物の仕事だ。JR東は磐越西線のインフラを管理、提供しているにすぎない。1987年の国鉄民営化前は1つの会社だったが、今は違う。非常時とはいえ、それぞれの枠の中で分業すべきだ。JR東としては磐越西線の緊急修理などで既に十分な役割を果たした。

 JR貨物からの要請がない状況で、JR東が機関車を待機させる必要はない。しかし明日、列車が止まってJR貨物から要請が来てからDE10を用意すれば、運転士や整備士の確保など準備に丸1日かかる。

 被災地に石油が届くのが1日遅れるだけ。そうじゃない。非常時だからこそ、一秒でも早く届けろ。鉄道マンの魂がそう言っている。明日の待機を運転士に告げるため、受話器を握る社員の顔にも決意が宿っていた。

 26日午前4時過ぎ、会津若松駅のプラットホームを出発した石油列車。DD51を運転するJR貨物の遠藤文重さんには、窓越しにDE10が見えた。「ああ、準備しているのかな。そんな話はなかったけど」。遠藤さんのつぶやきに、同乗していたJR東の職員は何も答えなかった。会津若松駅を出てすぐ、みぞれが大きくなった。

 同日未明、日本石油輸送(JOT)石油部の渡辺圭介さんは会津若松駅付近にいた。JOTは石油元売り最大手のJX(現JXTG)グループなどが出資する石油輸送専門の企業だ。JXとJR貨物の間に立ち、被災地向けの臨時石油列車の機材調達などにも深く関わってきた。渡辺さんはその日、震災後初めての休暇だったが、磐越西線ルートでの石油輸送を自分の目で見届けたいと自費で現地に駆け付けていた。

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