第3に、ITを活用し、垣根を越えた連携で、埋もれた情報を「先制医療」や難病治療につなげてほしいこと。
成果を出しつつあるのが、希少・未診断疾患の包括的診断体制(IRUD)だ。全国220の病院で情報を共有し、診断の難しい患者の遺伝子解析をする。ある病気では、カルテに書かれた複数の所見が日米の患者で一致し、遺伝子解析の結果、代謝経路の変異に共通点があると分かった。情報共有により初めて見つかった病気は、10以上に上るという。こうした連携を広げることで、診断、治療への道が開けるはずだ。
省庁連携はもちろん、情報をつなぎ、人をつなぐ。AMEDには車輪の軸の役割を大いに期待したい。
◇
【プロフィル】東嶋和子
とうじま・わこ 科学ジャーナリスト。筑波大・青山学院大非常勤講師。筑波大卒。米国カンザス大留学。読売新聞記者を経て独立。著書に「人体再生に挑む」(講談社)、「水も過ぎれば毒になる 新・養生訓」(文藝春秋)など。