攻める各社、高級化路線も
撤退の一方で、攻めの姿勢を維持するのはカシオ。カメラ部分と液晶部分を分離できるセパレート型など、ひと味違った機能で差別化を進める。
5月10日の29年3月期決算説明会では、デジカメ事業が前期比38%減の減収、赤字額は5億円と公表された。苦戦の顕在化を受けて同社は今年度からデジカメ、プロジェクター、楽器の技術を融合させ第三の柱となる事業創出に着手する。「市場のシュリンクをだまってみてはいられない」(同社)。
手をこまねいていないのは富士フイルムやソニーも同じだ。両社は高級路線に舵を切った。
富士は国産初となる中判ミラーレスカメラ「GFX 50S」を約80万円で発売。市場推定価格約50万円というソニーのミラーレス一眼「α9」は最高20コマ毎秒の高速連写機能を搭載している。いずれもスマホなど比較にならないほどの高性能を誇りマニア垂涎(すいぜん)の機種として話題をさらった。
写真文化は進化している
このままカメラが消滅すると考えるのは早計かもしれない。
2010年にサービスが始まったスマホ向け写真共有アプリ「インスタグラム」。スマホで画像を見せ合うシンプルな機能ながらブームに火が付き、月間アクティブユーザー数は世界で7億人、国内で1600万人を数える。