綱川社長は15日の会見で「WDが(元々の協業相手だった)米サンディスクを昨年買収した際にも東芝の合意は要らなかった」と強調。予定通り19日に2次入札を締め切る方針を示したが、仲裁が足かせとなる可能性も否めない。
一方、日米連合にも暗雲が漂う。一部で検討されてきたWDの合流案は、東芝とWDの対立で可能性が低くなった。経済産業省と経団連が連合への参加を呼びかけている日本の事業会社で、出資検討の意向を示しているのは富士通のみ。一定数の参加を確保できなければ、革新機構は「次世代の国富を担う産業を創出する」という基本方針から外れ、支援が難しくなる。
足元の半導体メモリー市況は上向いている。このため手続きが長引いても企業価値が上がり、かえって好条件を引き出せるとの見方もある。だが、債務超過を解消できなければ上場廃止となり、東芝の存続自体がおぼつかなくなる。(井田通人)
■東芝メモリの売却先候補
・ウエスタン・デジタル(米国)
・ブロードコム(米国)、シルバーレイク・パートナーズ(米国)
・SKハイニックス(韓国)
・鴻海精密工業(台湾)
・日米連合=コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR、米国)、産業革新機構、日本政策投資銀行など