京都市左京区の貴船神社でも導入され、おみくじの片隅に印刷されたQRコードを読み取ると、英語と中国語、フランス語などに翻訳される。導入後、おみくじをひく訪日客も増えているという。
PIJINの松本恭輔社長は「購買意欲を高めたり、新しい体験をしてもらえるきっかけになれば」と話す。「このモデルを海外にも輸出したい」といい、すでにパリのサクレ・クール寺院や、ネパールのパクタプル遺産でも案内用にQRトランスレーターが使われ始めているという。
神薬も詳しく中国語で
中国人観光客から「12の神薬」として人気の医薬品のうち「熱さまシート」「アンメルツ」など5製品を手掛ける小林製薬は、これらを含む20商品について、スマホを使って中国語で概要を説明するサービスを今年2月に始めた。
専用アプリをダウンロードしたスマホを商品パッケージにかざすと、特設の中国語サイトが表示される仕組み。同社は「花見のシーズンは訪日外国人も増える。商機に備えたい」と話している。
一方、特定の商品やメーカーに限らず、あらゆる商品情報を英語、中国語、韓国語、タイ語、インドネシア語など多言語で閲覧できるアプリもある。バーコードで商品を識別、情報をインターネット上で集めて翻訳する「LOOK」だ。スマホでバーコードを読み取ってから、3秒ほどで表示される。
提供するベンチャー企業「チャプターエイト」(東京都渋谷区)の高野勇斗社長は「商品情報や価格の相場が分かれば、買いやすくなるのでは」と話す。
政府は、訪日外国人の消費額を2020年に8兆円にすることを目標に掲げ、訪日客けに高度で先進的なサービスを提供する「おもてなしプラットフォーム」の構築を目指している。
高野社長は「LOOKの仕組みも、日本の文化を知ってもらいたい、日本で良い体験をしてほしいというおもてなしの精神の上に成り立っています。国の取り組みにも役立ちたい」と話している。