次世代スマホは有機ELパネル? 覇権狙うサムスン 無視できないシャープら液晶陣営 (1/3ページ)

ジャパンディスプレイが開発した液晶「フルアクティブ」。4辺の縁幅を狭くし、全面スクリーンのように使える。
ジャパンディスプレイが開発した液晶「フルアクティブ」。4辺の縁幅を狭くし、全面スクリーンのように使える。【拡大】

  • サムスン電子のスマホ「ギャラクシーS7エッジ」。有機ELパネルを採用し、側面が湾曲した画面のデザインとなっている。

 スマートフォン向け次世代ディスプレーの座をめぐり液晶と有機ELそれぞれの陣営が激しい競争を繰り広げている。より鮮やかに色を表現し曲げられるほど薄くできる有機ELに賭けるのは、韓国サムスングループなど。一方、画像がきめ細やかで製造コストも安い液晶は、ジャパンディスプレイ(JDI)やシャープが注力する。将来的には用途ごとにすみ分ける可能性もあるが、スマホ向けは巨大市場だけに両陣営とも負けられない。

有機ELの強みと弱み

 米アップルが来年発売するとみられる次期iPhone(アイフォーン)でも有機ELの採用が有力視されており、サムスンはこれを機にパネル市場の覇権を狙う構えだ。

 サムスンは2010年発売の初代「ギャラクシー」に有機ELを採用して以降、全機種に搭載。曲げやすい特性を、画面の縁がカーブする形状などの特徴的なデザインに生かした実績がある。

 有機ELは、光の三原色であるRGB(赤緑青)それぞれに発光する有機材料の画素で構成。背面を光らせて画像を表現する液晶に比べて部品が少なくできるため薄くでき、電力消費も少ない。

 有機ELには改良の余地も多いとされる。主要な工程に必要な大型真空装置は、高価な上にメーカーも限られ「発注から受領までは数年待ち」(業界関係者)。1枚の基板から切り出せるパネル枚数が液晶に比べて少ないため生産効率も低く、取引先など関係者からは「(不良品を出さない)歩留まり率が悪く、もうけは出ていないだろう」との声が聞かれる。

液晶陣営は既存の技術に磨き