【技術革新とiモード】(2)
■発表会見記者7人でも…
米ニューヨークのセントラルパークに近い近代美術館(MoMA)で今、入り口近くの壁に「絵文字」のボードが展示されている。昨年10月、ハートや太陽などの絵文字176種類が、同館の永久収蔵コレクションに加えられたからだ。
「現在の『emoji』の遺伝子は明らかに、クリタの独創的なデザインの中にある」
説明文にあるクリタとは、NTTドコモでiモード開発に携わった現ドワンゴ執行役員の栗田穣崇(しげたか)(44)のことだ。携帯電話でメールをやりとりする。新しいコミュニケーションには絵文字が絶対に必要だと考えた。
競合も採用したemoji
「何してるの?」。社会人になりたてのころ、恋人からポケベルに入った何げないメッセージが原因でケンカになった。行動を勘ぐられているような気がしたからだ。
「笑顔やハートが添えられていれば真意が伝わったはずだ」と、自ら12マス×12マスの方眼紙を塗りつぶし、一つ一つデザインした。絵文字は競合他社や米アップルの「iPhone(アイフォーン)」にも採用され、世界に広がる。