□フリーランスプランナー・今昌司
2016年は、20年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関する話題をメディアが大いに盛り上げてくれた…。とは言っても、その大半はドタバタ劇を面白おかしく報じただけで、現実は、大会本番に向けて、ようやく競技会場問題が正常化したばかり。1兆8000億円という大会運営費に関しても、正確な積算根拠は何も示されておらず、国際オリンピック委員会(IOC)に指摘された経費抑制に対して、ひとまず上限の目標額が示されたに過ぎない。
どのメディアも過去の事例をはるかに上回る競技会場建設費の妥当性には切り込みもせず、東京都が発表する金額の乱高下するさまを弄んでいるかのようにしか見えない。これでは大会本番に向けた盛り上げ機運は高まるはずもなく、不安ばかりをあおり立てているような気がしてならない。
入場料の比重高く
こうした中で20年の前年、19年9月には、五輪より一足早く、日本各地で世界最高峰のスポーツ大会が開催されるのにもかかわらず、ほとんど話題になっていない。ラグビー・ワールドカップ(W杯)である。
11年に公表されている大会運営費は約420億円。しかも、主催者である国際統括組織のワールド・ラグビー(WR)への負担金は9600万ポンド(約134億円)にもなり、加えて、日本側の収入は、公的資金を含めた助成金や寄付金を除けば、入場料収入に頼るしかない。その想定金額は約300億円だ。